キリストの愛の感染源として（ローマ８・31～39）

今人類の最大の敵は、新型コロナウィルスだと多くの人は言うでしょう。確かに、わたしたちの健康のみならず、世界中の経済や生活に大打撃を与えています。このウィルスは何としても退治しなければなりません。しかし、わたしたちの体よりも、心に感染を引き起こす厄介なものがあることを決して忘れてはなりません。

恐れの感染

それは恐れです。恐れに感染すると、それは周りの人に直ぐ感染します。今、インターネットなどで、正しくない情報が沢山流れます。そのために、先日トイレットペーパーが品切れになりました。多くの人が、不安と恐れに中にあって、冷静な判断力を失い、間違った情報を信じたからです。心に入り込む恐れの仕業です。恐れはどんどん広がり、感染します。わたしたちは弱く脆く、恐れに感染しやすいのです。

愛の神様は、わたしたちが恐れに感染しやすい弱い存在であることを良くご存知です。そんなわたしたちのために愛の神は、何をしてくださっているのでしょうか。

主イエスは、わたしたちの罪を十字架の死を持って処罰してくださり、死を通られ復活された方です。死というわたしたちが最も恐れることを越えて、死者の中から復活され、天の父なる神の右におられるが、休むことなくいつも、わたしたちのために祈っておられるのです。「誰が罪に定めることができましょう。死んだ方、否、むしろ復活させられた方であるキリスト・イエスが、神の右におられ、私たちのために執り成してくださるのです。」（８・34）

そして、復活の主イエスを信じる者の心の中に宿ってくださる聖霊様は、うめきを持ってわたしたちのために祈ってくださっています。「霊もまた同じように、弱い私たちを助けてくださいます。……霊自らが、言葉に表せない呻きを持って執り成してくださるからです。」（８・26）

また聖霊様は「神が私たちに与えてくださったのは、臆病の霊ではなく、力と愛と思慮の霊」（Ⅱテモテ１・７）です。力と愛と思慮の霊でその愛の霊が、「恐れを締め出します。」（Ⅰヨハネ４・18）

今新型コロナウィルス感染予防のためのアルコール消毒も大切ですが、恐怖を締め出す完全な愛である聖霊様に、心を委ね、心の隅々まで聖めていただきましょう。

責任転嫁という感染

わたしたちの心は、責任転嫁という感染を起こします。そもそも、恐れや責任転嫁という感染は、人間の罪の堕落によって始まりました。

最初の人アダムは、食べることを禁じられた木の実を食べたとき、神との関係が壊れ、急に恐れて身を隠そうとしました。神が食べた理由を問うた時、自分の責任を神とエバに転嫁しました（創世記１・12）。

今、新型コロナウィルス感染防止のため、キリスト教会も様々な決断をしています。それぞれの状況の中で、なお主を仰ぎ、信頼して歩み、最大限の注意を払い、時々刻々と変わるかもしれない状況にも対処しながら進んでいくことです。そうでないと責任転嫁という感染が起こります。

神は御子の十字架の贖いによって、御子を信じる者に完全な赦しを与え、力と愛と思慮の霊を与え、恐れと責任転嫁という感染源を断ってくださったのです。

キリストの愛の感染源として

ですから「私は確信しています。死も命も、天使も支配者も、現在のものも将来のものも、力あるものも、高いものも深いものも、他のどんな被造物も、わたしたちの主キリスト・イエスにある神の愛から私たちを引き離すことはできないのです。」（38）コロナウィルスも被造物です。わたしたちを神の愛から引き離すことはできません。

３月に入り、政府の要請で小中学校が臨時休校になります。在宅勤務も増えて、いつになく、家族がみんな家にいるかもしれません。一緒に語り合うこと、聖書を読んで、賛美し、祈る時間が与えられます。

普段と違った生活の中でキリストの愛にもっと感染し、いままで以上に愛を通わせることができます。ピンチはチャンスです。特に一人暮らしの方とは、できるだけ週の中で、様々な手段を使って愛を分かち合いたいと願っています。この時だからこそ、もっと深くキリストの愛の感染を拡大させていこうではありませんか。