バイブルメッセージ Bible Message

願いがかなう祈りとは (サムエル記上1・3~20)

2021年 5月 1日

「ハンナは悲しみに沈んで主に祈り、激しく泣いた。」(10)

 子どもが与えられないことで深い悲しみに沈むハンナは、こう祈ったのです。

 「万軍の主よ、どうかあなたの仕え女の苦しみをご覧ください。この仕え女を心に留めてお忘れにならず、男の子を賜りますならば、その子を一生主にお献げし、その頭にはかみそりを当てません。」(11)

 

 主の前にへりくだった者の祈り

 ハンナの祈りは、第一に、へりくだった者の祈りです。

 彼女は、自分のことを「あなたの仕え女」と呼んでいます。あなたのと言っているのです。御子イエスを聖霊によって身ごもったマリアの祈りはこのハンナの祈りに似ているとよく言われます。マリアは、「私は主の仕え女です。お言葉通り、この身になりますように」と主の前にへりくだりました。マリアの祈りは、このハンナの祈りと通じるところがあります。

 さてハンナは、この祈りの中で、神を「万軍の主」と呼んでいます。天地創造の神は、天の軍勢を束ねておられる主で、その主に向かって私はあなたの僕、仕え女ですと告白しています。

 この万軍の主は、御子イエスを通して、僕の姿となられたお方です。神はいと高き全能の神、万軍の主ですが、愛する者を救うために、どこまでも、最も低いところまでへりくだることがおできになるお方です。ですから、へりくだった者の祈りに喜んで、耳を傾けてくださるのです。

 

 主の前に心を注ぎ出す祈り

 第二に、ハンナの祈りは、心を注ぎ出す祈りです。ハンナは、自分が涙を流し、悲しみに沈んで激しく泣きながら主の前にひれ伏しました。そして、「どうかあなたの仕え女の苦しみをご覧ください。」と祈りました。また、祭司エリに「主の前に自分の胸の内を注ぎ出していたのです。」と述べています。彼女は、これまでの人生のすべてとその苦悩、そして今、傷つき、痛んでいる心の隅々まで見てくださいと、胸の内を包み隠さず、心を注ぎ出したのでした。

 

 主に自分自身をささげる祈り

 そして、ハンナの祈りは、献身の祈りでもあります。

 ハンナは「男の子を賜りますならば、その子を一生主にお献げし」ますと祈りました。自分の子どもを主の御用のためにささげます、自分の楽しみのため、自分の喜びを満たすためではなく、与えられる子をささげますと祈りました。ハンナの祈りは、献身の祈りでした。

 このハンナの祈り、願いはかなえられ、ハンナは子を宿しました。それが後のサムエルです。サムエルという名の意味は、「神は聞きたもう」です。ハンナの祈りは、イスラエルの歴史、神のご計画にとって、大きな転換点となりました。

 サムエルは主の僕として、イスラエルの民を、真の神を礼拝する者へと立ち返えらせる働きを担いました。すべては、母ハンナの祈りから始まりました。へりくだった祈り、心を明け渡す祈り、献身の祈り、それは、神の御手を動かします。

ウェスレアン・ホーリネス教団 浅草橋教会(牧師・山崎 忍)

テレホンバイブルメッセージ 同じ内容のメッセージを電話でも3分間、聞くことができます。 03・3865・3307