聖霊によって生まれたキリストの体なる教会 （使徒言行録２章１～４、37～39節）

キリストの体なる教会のユニークさ

キリストの体なる教会は、聖霊によって新しく生まれた人たちの共同体で、とてもユニークな存在です。

聖い愛

聖霊は「炎のよう」（使徒２・３）に降りました。まず聖い愛こそが、聖霊によって生まれた教会のユニークさです。自分のことばかり考えていた弟子たち、恐れと疑いを抱く弟子たちの心は、闇に支配されていましたが、聖霊が炎のように降り、心の罪汚れを焼き尽くしました。そして聖霊の御支配の内にあって、神の聖なる愛に満たされました。

神への賛美

聖霊は「舌が分かれ分かれに現れ」た（２・３）とあります。教会のユニークさは、神への賛美です。舌とは、言葉を生み出す器官です。人は、自分を称賛したり、人を称賛したり、物を称賛することで、自分が神のようになったり、他人が神のようになったり、物が神のようになる、それが罪に堕落した人間の姿です。

しかし、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上に聖霊が留まったとき、弟子たちの心と舌が聖くされ、聖霊の導きによって神様の偉大な業を語り出したのです。

一人一人が高価で尊い存在

聖霊は、「一人一人の上にとどま」りました。教会のユニークさの三番目のことは、一人一人が神の目に高価で尊い存在であることです。

同じ聖霊が一人一人に臨んだとき、それぞれが他国の言葉で話し出し、神の偉大さを語り、賛美しました。オーケストラ―シンフォニーの楽器に例えるならば、一人一人が異なる音を奏でながらも、一つとなって唯一の偉大なる神を賛美しました。

聖霊によって生まれた教会は、形づくる一人一人が神の目に重んじられていて、その奏でる音によって、唯一の神の偉大なる業を賛美するキリストの体です。

聖霊によって生まれた教会のミッション

神様は、すべての肉なる者にわが霊を注ぐと約束されました（ヨエル３・１～２）。神は人を分け隔てしません。性別も、年齢も、その置かれている立場、地位も関係ありません。この神の約束の実現こそが、聖霊によって生まれた教会の使命、ミッションです。

そして、このミッションを遂行するために、教会にはどのような責任があるのでしょうか。

人々を悔い改めに導く

ペトロの説教を聞いた人々は、大いに心を打たれたとあります。心を打たれる。彼らの心は刺され、砕かれたのです。そして、彼らはこうたずねました。

「私たちは何をなすべきでしょうか」すると、ペトロはこう答えました。「悔い改めなさい。めいめい、イエス・キリストの名によって洗礼を受け、罪を赦していただきなさい。そうすれば、聖霊の賜物を受けるでしょう。この約束は、あなたがたにも、あなたがたの子どもたちにも、また、遠くにいるすべての人にも、つまり、私たちの神である主が招いてくださる者なら誰にでも、与えられているものなのです。」（使徒２・37以下）

悔い改めるとは、自分勝手な生き方、欲望のままに生きていた罪深い姿を悟り、自分を救ってくださる神を信じて、神の方を向く、神に立ち返ることです。

私たちもかつてはそのように生きていましたが、主イエスに出会い、悔い改め、聖霊に満たされ、キリストの愛に生かされる恵みにあずかっているのです。

洗礼を授ける

主イエスの救いを信じ、父と子と聖霊の名によって、洗礼を受け、罪を赦していただくならば、その人は聖霊の賜物を受け取ることができるのです。

人々が悔い改め、神に立ち返り、洗礼を受け、その人たちに聖霊が注がれ、聖霊を賜物として受け取ることができるように導く、これが聖霊によって生まれた教会に託されているミッションです。

そして、このミッションを遂行するために、聖霊によって生まれた教会に、夢と幻を神は見せるのです。

使徒パウロは福音宣教者とされたある日、幻を見ました。マケドニア人が立って、「私たちを助けてください。」と懇願する幻でした。

パウロは、この後すぐ、マケドニア州に向けて出発しフィリピに到着し、そこでリディアたちが救われました。その後、不当な理由で牢につながれますが、その中で看守とその家族皆が主イエスの救いにあずかりました。もし、聖霊によってマケドニア人が助けを求めている幻を見たパウロが、フィリピに行かなければ、この家族はイエス様に出会うことができませんでした。

聖霊は幻を与え、教会に新しい使命を与えます。その使命、ミッションには、愛による犠牲が伴いますが、神様の愛は拡大していきました。

三位一体の神は、その内から御子をこの世に遣わし、ペンテコステの日、聖霊様を遣わしてくださり、キリストの体なる教会が誕生し、今私たちを聖霊で満たして、幻と夢を与え、この世に遣わすのです。神の愛は、どこかに留まってしまうことができません。出て行き、拡大する愛なのです。

聖霊によって生まれたキリストの体なる教会を形づくる一人一人として、新しく聖霊に満たされ、愛の犠牲を惜しまない者として、この世に遣わされて行きましょう。